スピードマスターとアポロ13号


絶対絶命のアポロ13号で、スピードマスターの刻む14秒に命を託したクルーたち

アポロ13号の事件は、あまりに衝撃的だった。無事に月の軌道に達するかに思えた彼らを襲ったのは予期せぬ燃料タンクの爆発だった。

急遽、地上と連絡を取り、そのまま月の裏側を回って地球への帰還を省みるアポロ13号だったが、残り少ないバッテリーや燃料を節約するため指令船の電源を落とし、月着陸船を救命ボートとしながら進む工程は、非常に危険で難易度の高いものだった。そしてクルーたちは、さらに深刻なトラブルを知ることになる。地球への正しい軌道からずれているというのだ。

燃料は限られている。しかし、正しい軌道に戻らなければ地球には帰れない。そんな窮地を脱するために残された唯一の方法は、地上から指示されたタイミングで、14秒間だけエンジンを逆方向に噴射させ、宇宙船を元の軌道に戻すというものだった。

コンピュータが使えない状況で、その運命の14秒間を正確に測り、クルーたちを救ったのがスピードマスターでした。アポロ13号は正しい軌道に戻り、打ち上げから6日目、全員が地球へ奇跡の生還を果たしたのです。

アポロ13

スピードマスター プロフェッショナル

NASAが腕時計に課した11項目の性能テスト


NASAの装備品検査テストは、あまりに過酷なものだった。そのテストを耐え抜き、高い機能性をみせたのは、スピードマスターだけだった

1.高温環境
検査装置内をほぼ真空状態にし、温度を70度に設定後、時計を48時間放置。その後、装置内を室温に戻し、正しく作動するかをチェック。さらに内部を93度にまで上げ、30分放置して再確認する。

2.低温環境
検査装置内に時計を入れてから内部の温度を−18度に設定し、4時間放置する。装置内の温度を室温まで戻し、動作をチェックを行う。これは装置内の気圧をほぼ真空状態にして行う。

3.気温・気圧
時計を装置内にセットし、内部を真空状態に設定。温度を70度から−18度に下げ、45分放置。再度70度に引き上げ、40分放置。これを15回繰り返す。その後、室温で動作チェック。

4.相対温度
20度〜38度の蒸気が満ちる装置内で、2時間かけて温度を70度に上げ、6時間放置。その後、16時間かけて温度を元に戻し動作チェック。この時、装置内の相対湿度は95%以上を保持。

5.酸素中気圧ほぼ真空で、酸素100%、気温70度という環境に設定された室内に時計を放置。その間に明らかな燃焼、有毒ガスの発生、部品や潤滑油の劣化が見られた場合、その時計は不合格となる。

6.衝撃
専用の検査装置に時計をセットし、着陸時の衝撃を想定して時計に40Gの衝撃を11/1000秒、繰り返し6回かける。これを6パターンの姿勢で行い、その後正しく動作するかをチェックする。

7.加速度
装置内に時計をセットし、333秒の間に時計の受ける重力が1Gから7.5Gになるまで加速していく。その後、さらに16Gになるまで加速。これを3方向から1回づつ行い動作チェック。

8.減圧
検査装置内の気圧をほぼ真空状態にし、温度を70度まで上げ、1.5時間放置する。その後、さらに装置内の温度を93度にまで引き上げて30分間放置する。最後に動作チェックを行う。

9.高圧
検査装置内を1.6気圧に設定した状態で、最低1時間以上放置。その後、高圧環境による時計の破損箇所がないかを調べ、正しく動作するかチェック。

10.振動
時計を検査室内に固定し、5〜2000Hzまでの間で振動数を変億しながら、30分間にわたり振動を与える。この内容を6パターンの姿勢で1回づつ繰り返し、動作チェックをする。

11.可聴音ノイズ検査装置内に時計を入れ、40〜1000Hzの振動数の幅で130デシベルのノイズ音を当てていく。これを6パターンの姿勢で10分間づつ行い、その後、時計の動作チェックを行う。


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スピードマスターとアポロ11号


人類の夢とともに月面に刻まれた、輝かしき歴史のファーストステップ

1969年7月20日、ビッグニュースに世界が沸いた。誰もが固唾を飲んで事の成り行きを見守った。アポロ11号のクルーが、人類史上初めて月面に降り立ったのだ。

誰も体験したことのない未知の世界。その準備段階で、NASAは宇宙空間でも絶対的に信頼できる腕時計を探した。もし故障でもすれば、計画の失敗だけでなくクルーの死に直結するからだ。

この選考試験は、まるで壊すことを目的にしたような厳しいテストの連続で、次々と他のモデルが脱落するなかで、すべてをクリアしたのはスピードマスターだけだった。

月面での栄光の瞬間を「これは、ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」と表現したアポロ11号のニール・アームストロング船長。月面着陸船の操縦士エドウィン・オルドリンとともに月面に滞在した2時間31分40秒を、彼らの腕で刻んだのもスピードマスターだった。

アポロ11号

スピードマスター プロフェッショナル

宇宙でNASAを支えたスピードマスター


ロケットに乗って人類を月へ導いたのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)のアポロ計画だった


「1960年代のうちに、アメリカは人間を月へ着陸させ、安全に帰還させる」


ケネディ大統領の演説によって、NASAの宇宙計画は一気に加速し、膨大労力と費用がつぎ込まれた。その計画は、マーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画へと続く。

この中でもアポロ計画は、'67年の1号から、'72年の17号まで続き、このうち有人飛行は7号からで、'69年の11号で、ついに悲願の月面着陸を果たしたのです。それ以降、事故をおこした13号を除いては月面での実験を成功させています。

このアポロ計画を影で支えたのがスピードマスタープロフェッショナルなのです。

スピードマスタープロフェッショナルは、宇宙飛行用に開発されたのではなく、通常の市販モデルが、精度、信頼性、堅牢性、操作性を理由に、'65年、NASA高式時計に採用されました。

驚くべきは、人類の叡智をそそいたアポロ計画から、スペースシャトルにいたる現在まで、宇宙における船外活動で使用を認められているのは、唯一スピードマスターだけなのです。


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【スピードマスタープロフェッショナル】